令和7年度 林業土木技術講習会を開催しました

と き:令和7年5月27日(火)、28日(水)
場 所:岐阜県高山市「高山市民文化会館」3-11講堂
参加者:講師、スタッフ、受講者(傍聴含め)計167名が参加しました。

講習会主催者(三尾秀和会長)挨拶を聴講する参加者
野中 豊 安全・技術対策委員長

 事務局から二日間の講習会の概要説明の後、野中 豊 安全・技術対策委員長から、労働災害の防止、とりわけ相次いで発生した重機転落による重大災害について、類似の災害が連続して発生させないよう、安全指導及び安全点検の実施など労働災害防止に向けた取り組みの強化、現場作業の効率化や安全を確保し適正な施工管理が可能となるよう林野庁や森林管理局へ各種の改善要望等を提出し回答をいただいたことなど委員会として取り組みについてお話しいただきました。

 続いて、高山労働基準監督署の 青木賢次署長から、講習会にあたっての労働災害防止への意識を高める有意義な機会としていただきたいとの挨拶をいただき、同労働基準監督署 林 祐也 安全衛生課長より、労働災害の現状、建設業における労働災害事例、熱中症対策などについて講義いただきました。

青木賢次 高山労働基準監督署署長
林裕也 高山労働基準監督署安全衛生課長

続いて、今講習会では会員等が取り組む2つの事例発表をしていただきました。最初の発表は「ICT施工の取り組み事例の紹介」として飛騨森林管理署治山グループ 主事 棚田みのり さんが監督員補助として受け持った「野麦(脇田)復旧治山工事」と「乗鞍(池之又)復旧治山工事」の施工事例の結果について説明をいただきました。説明後はそれぞれの工事を受け持った現場代理人からの実際の感想と川本 淳 総括治山技術官から今回の取り組みの総評をお話しいただきました。

事例発表をする棚田みのりさん(右)
ICT施工の法面工
(株)林工務店 萩田忠幸さん
大山土木(株) 八賀重彦さん
飛騨森林管理署 川本 淳 総括治山技術官

続いて、「黒部川の防人としての使命」~多領域連携で挑む地域建設業の進化~と題して、当協会会員である大高建設(株)専務取締役 大橋 賢生 さんから会社の概要、黒部の特異性とその防人として地域を支える役割、多言語安全案内や多言語アバター動画、AIによる観光解説などの情報発信の取り組み、木質バイオや水力など地産エネルギーの活用など幅広い取り組みについて説明いただきました。

大高建設(株)専務取締役 大橋 賢生さん
黒部川の防人としての使命

 初日午前の最後は、令和6年度治山・林道工事コンクール受賞工事を担当された、現場代理人、主任技術者の皆さん、令和7年度安全標語の最優秀作品を会長より表彰していただいた後、三尾秀和会長から現場技術者として技術力向上に努める良い機会であり現場での安全確保、適正な施工管理に生かしてほしいとの主催者あいさつがありました。

(一社)名古屋林業土木協会 会長賞を受賞される現場代理人,主任技術者の皆さん
永瀬庄栄 森林整備課長

午後からは、中部森林管理局森林整備部、永瀬 庄栄 森林整備課長より中部森林管理局の令和7年度の中部森林管理局の重点取組事項について、ご説明され、そのあと発注者綱紀保持対策、公共工事等の適正な入札・契約などについて講義をいただきました。

続いて、中部森林管理局森林整備部 三井 正 資源活用課長より「請負事業体の労働災害の撲滅に向けて」と題し、労働災害の発生状況と再発防止対策について、労働災害の事例を基に類似災害の防止対策の講義と国有林における労働災害への対応について講義をいただきました。

三井 正 資源活用課長
堂本 整 林土連専務理事

続いて、初日最後の講義は、(一社)日本林業土木連合協会 堂本 整 専務理事より「森林土木工事の施工管理のあり方」~第3次担い手3法と技術者アンケート結果の概要~と題して森林土木事業の取り巻く課題について、建設業法等の改正の背景から資材価格や現場条件等実態に適合した設計積算、関係書類の簡素化、検査基準の見直し、施工管理のあり方などについて講義をいただきました。


 二日目最初の講義は、中部森林管理局の 立澤 和美 治山課長より「中部森林管理局における治山・林道事業の主な取組」と題し、近年の大規模山地災害からの復旧に向けた取組状況や、豪雨災害に関する今後の治山対策の在り方検討会のとりまとめ概要、中部森林管理局における森林土木工事の円滑な施工に向けた取組、ICT施工の取組、業務の簡素化などについて講義いただきました。

立澤和実 治山課長
佐々木竜也 治山課設計指導官

 引き続いて、中部森林管理局治山課 佐々木竜也 設計指導官と森林整備課 太田 昭信 設計指導官から「設計積算要領・標準歩掛等の改正概要」「近年における山地災害の特徴等」「森林土木工事の適切な実施に向けて」と題し、設計積算要領・標準歩掛等の改正概要、工事の適切な施工管理、工事書類作成マニュアルなど多義に渡り講義いただきました。

太田昭信 森林整備課設計指導官

2日目午後からは、施工現場の通信環境改善のため低軌道衛星を活用した高速衛星通信機器の導入を図ること重要となっていることから、外部講師としてKDDIまとめてオフィス(株)衛星通信担当から講師をお招きし「未開の地を繋ぐースターリンクが拓く林業土木の未来」と題して説明と実機器を設置し実際の衛星通信のデモを行いました。

田中 得傑 KDDIまとめてオフィス(株)中部統括本部長
松下鑑 KDDIまとめてオフィス(株)法人営業2部 衛星通信担当
導入している状況をお話しされた
(株)所組 取締役 後藤千夏さん
デモ機設置とギャラリー
会場の1階陸屋根に仮設されたスターリンク📡

講習会カリキュラムの最後は、「建設業における腰痛策」~はたらく現場での負担軽減~と題して一般社団法人アシストスーツ協会 長澤幸佑 理事から現場作業時における負担軽減スーツの提案説明いただきました。

(一社)アシストスーツ協会 長澤幸佑 理事
会場の受講者による試着後の動作体験(右写真〃)

二日間にわたる講習会の閉会にあたり、安達正彦 環境・社会貢献委員会委員長から、国有林防災ボランティア協定に基づく災害被害状況調査や地域連携や森林づくり活動など社会貢献活動の取組状況と今後の協力依頼など、協会が取り組む活動への協力依頼をお話しされ、講習会閉会の挨拶をいただきました。

安達正彦 環境・社会貢献委員長による閉会の挨拶

 今年も、会場準備から当日の受付対応まで、青年部役員を中心にご協力いただきました。

 会場の高山市民文化会館は駅近で利便性が非常に良いですが、早朝からの会場準備(机、椅子の設置)と後片付けに労力を要します。高山市内を中心に受講生の皆さんにも設置と片付け作業にご協力をいただきました。ありがとうございました。

講習会資料は会員専用サイト>各種会議資料(開催済み)に格納しています。