安全パトロール・意見交換会を開催しました ~富山支部~
令和8年10月7日(水)、(一社)名古屋林業土木協会富山支部(高平公輔支部長)主催により、富山森林管理署及び魚津労働基準監督署との合同安全パトロール及び安全会議・意見交換会を開催しました。
今回は、異なる自然条件や施工環境における安全対策や施工方法を学び、技術の共有を図ることを目的として、飛騨4支部(神岡、古川、久々野高山、荘川)の会員も参加しました。現場の安全対策を相互に確認するとともに、労働災害の防止と施工技術の向上に向けて、活発な意見交換が行われました。
当日は天候にも恵まれ、富山森林管理署から青野洋德署長、小瀬木文武総括治山技術官、宗廣克徳森林技術指導官、魚津労働基準監督署から西浦安全衛生課長が参加されました。協会からは、富山支部の会員10社12名、飛騨4支部の会員15社15名が参加し、総勢31名による合同パトロールとなりました。

パトロールは、富山県下新川郡朝日町の小川国有林で施工中の「相ノ又谷復旧治山工事」の現場において実施しました。現場代理人から工事概要や施工状況について説明を受けた後、参加者全員で現場内の安全対策や危険箇所を点検し、それぞれの立場から意見や改善提案を出し合いました。





現場点検後、魚津労働基準監督署の西浦安全衛生課長から、主に次の3点について講評がありました。
① 安全管理の徹底と工夫に対する評価
避難場所の整備や各種掲示物の配置など、作業員の目線に立った安全対策が徹底されており、適切に管理された現場であるとの評価をいただきました。特に、重機への乗降時に三点支持を確実に行えるよう、手足を掛ける位置をテープで明示した工夫は、他の現場でも参考となる優良事例として紹介されました。
② 作業環境の変化に応じたリスクアセスメントの重要性
土木工事は自然条件の影響を受けやすく、当初の計画や想定と異なる状況が生じることもあります。そのため、現場の判断だけで作業方法や施工条件を変更するのではなく、事前にリスクアセスメントを実施し、危険要因を十分に把握したうえで、安全を確保することが重要であるとの指導がありました。
③ 慣れや油断による労働災害の防止
魚津労働基準監督署管内の建設業における休業4日以上の労働災害は、前年同期と比較して増加しているとの説明がありました。慣れた作業での油断や「自分は大丈夫」という過信が事故につながることも多いため、日々の安全教育を通じて危険に対する意識を維持し、作業員全員が無事に帰宅できる現場づくりを徹底するよう呼びかけられました。
講評では、これらの点を踏まえ、今後も安全管理を徹底し、労働災害の防止に努めながら施工を進めるよう指導がありました。
安全会議・意見交換会
パトロール終了後は、朝日町泊地区の「五叉路クロスファイブ」会議室に場所を移し、富山森林管理署と富山支部会員による安全会議・意見交換会を開催しました。

会議では、現場で確認された危険箇所や安全対策について意見を交わし、今後の施工に向けて、主に次の事項について確認・指摘がありました。
- 車両・通行時の安全確保:資材置場付近の路肩における転落防止のための注意喚起表示の追加、見通しの悪い箇所やカーブでの安全確認、無線連絡の徹底。
- 現場への移動時の安全確保:降雨による通路のぬかるみや、斜面からの転落への注意。
- 自然災害への備え:大雨による河川の急激な増水や土石流に備えた一次・二次避難場所と避難経路の確認、実効性のある避難訓練の実施。
- クマ対策の徹底:クマ出没時の対応方法の統一と周知、危険性が明確に伝わる注意喚起看板の設置方法の検討。
- 重機作業時の安全確保:事前の地盤状況・作業範囲の確認、オペレーターと周囲の作業員との連絡・合図の徹底による転倒・転落、接触・挟まれ災害の防止。
- 施工条件の変化への対応:危険箇所や施工条件に変化が生じた場合は、無理に作業を進めず、発注者と協議のうえ必要に応じて施工方法を見直すこと。
- 掲示物等の適正管理:建設業許可票の許可更新後の記載内容の更新、伐採作業等に関する掲示物の関係法令や記載内容の再確認。
これらの意見を通じて、現場の状況変化を的確に把握し、作業員一人ひとりが危険を認識しながら、安全を最優先に行動することの重要性を改めて共有しました。
また、今回参加した飛騨4支部の会員からは、現場の安全対策について多くの意見や感想が寄せられました。
良好事例として、作業員の安全通路の確保、法肩部への転石やカラーコーンの設置、現場までの林道の路肩を鉄ピンや蛍光テープで明示する工夫などが挙げられました。また、資材置場や現場事務所の整理整頓、掲示物の適切な配置についても評価する声がありました。
特に、作業員の目線に立って安全通路を確保し、現場の危険を把握したうえで対策を講じている点については、参加者から「安全のためにどうすればよいかを考えるプロセスが参考になる」との感想が寄せられました。
一方、さらなる安全性の向上に向けて、次のような改善提案もありました。
• 仮設ベンチ付近に昇降設備が設けられていなかったため、転倒防止の観点から簡易な階段等を設置すること。
• 一次避難場所について、周辺の地形や土砂災害の危険性を踏まえ、より安全な場所への見直しを検討すること。
• 掘削部右岸側の法面について、危険箇所への立入りを防止するため、防護柵やトラロープ等を設置し、立入禁止の表示を行うこと。
また、12月中旬には積雪により施工が困難になることが想定されるため、残工事の進捗を急ぐことによる事故を防ぎ、安全を最優先に施工する必要があるとの意見も出されました。状況によっては、工期の繰越しも含め、無理のない施工計画を検討することが重要であるとの指摘がありました。
今回の合同安全パトロール・安全会議は、発注者、労働基準監督署、協会会員がそれぞれの立場から現場の安全対策を確認し、具体的な改善点や優良事例を共有する貴重な機会となりました。
富山支部では、今回得られた意見や知見を今後の現場の安全管理に生かすとともに、会員相互の情報共有を通じて、労働災害の防止と安全意識の一層の向上に取り組んでまいります。

