青年部研修会を開催しました ~平湯大ネズコの保全活動を通じて森林環境を学ぶ~

 (一社)名古屋林業土木協会では、次代を担う人材の育成を目的として青年部を組織し、毎年、研修会や有識者等を招いた勉強会、意見交換会などを開催しています。これらの活動を通じて、林業土木技術や安全対策などに関する知識を深めるとともに、会員相互の交流を図り、将来の林業土木業界を担う人材の育成に取り組んでいます。

 また、青年部では、各地域において国有林野をフィールドとした社会貢献活動にも積極的に取り組んでおり、森林の公益的機能や自然環境の保全について理解を深めながら、地域社会への貢献活動を実践しています。

 今年度の青年部研修会は、愛知・岐阜・富山県内の青年部を5つのブロックに分け、各ブロックが持ち回りで企画・運営する形式で開催しています。

 今年度は、岐阜北ブロックの企画により、10月1日(木)、岐阜県高山市上宝町の奥飛騨温泉郷にある「平湯大ネズコ」を活動場所として、保全活動を中心とした研修会を開催しました。当日は青年部員35名が参加し、現地の自然環境や森林の役割について学ぶとともに、平湯大ネズコ周辺の環境整備を行いました。

「平湯大ネズコ」を訪ねて

 平湯大ネズコは、高山市奥飛騨温泉郷平湯地内にあるネズコ(クロベ)の巨木で、平湯キャンプ場から徒歩で約30分、山道を登った先に位置しています。

 この地域一帯は中部山岳国立公園に指定されており、豊かな森林や雄大な山岳景観など、奥飛騨を代表する自然環境が広がっています。

 平湯大ネズコは、長い年月にわたってこの地域の自然を見守ってきた巨木であり、林野庁の「森の巨人たち百選」にも選定されています。

 参加者は、平湯キャンプ場から森林の中を歩いて現地へ向かい、普段の工事現場とは異なる自然豊かなフィールドを実際に歩くことで、森林の持つ豊かな自然環境を体感しました。

 また、現地では、平湯大ネズコが地域の貴重な自然資源として大切にされていることや、観光資源、森林環境学習の場として活用されていることについて説明を受け、森林の保全と利活用の両立について考える機会となりました。

参加者打合せ_作業開始前の開会式
挨拶をされる辻井正徳 飛騨森林管理署長
平湯大ネズコの概要説明していただいた飛騨森林管理署神岡森林事務所鈴木優介主事

平湯大ネズコ周辺の保全活動

 平湯大ネズコを将来にわたって保全するとともに、観光や森林環境学習の場として適切に活用していくため、周辺では毎年、地域の企業や旅館関係者、地元住民などが参加して、草刈りやゴミ拾いなどの環境保全活動が行われています。今回の青年部研修会では、こうした地域の取り組みに青年部員も参加し、平湯大ネズコ周辺の環境整備を行いました。

 参加者は、大ネズコを取り囲む保護柵の修繕のほか、鎌や草刈機などを使用して周辺の草刈りを行ったほか、遊歩道周辺などのゴミ拾いを行うなど、参加者同士で協力しながら作業を進めました。

 普段、林道や治山施設などの施工を通じて森林と関わっている青年部員にとって、実際に森林の中に入り、地域の方々とともに自然環境の保全活動を行うことは、林業土木事業とは異なる視点から森林について考える貴重な機会となりました。

 また、急峻な山地における移動や作業を通じて、山間地域での安全確保や環境への配慮の重要性についても改めて認識する機会となりました。

金子広孝部長
加藤仁成幹事による作業内容の説明
司会進行:安藤智規副部長
遊歩道の橋梁清掃の様子
歩道の橋梁清掃完了
倒れた杭の埋め替え
作業の様子
大ネズコ根回りへの立入制限杭(修繕前)
保護柵の修繕完了
吊り橋に掛かった灌木の切除
綺麗に清掃された大ネズコ前のテラス

森林を守り、地域につなげる

 平湯温泉は、乗鞍岳のふもと、標高約1,250mに位置し、奥飛騨温泉郷の中でも最も古い歴史を持つ温泉地の一つとされています。

 周辺には飛騨高山、乗鞍岳、上高地などの全国的にも有名な観光地があり、平湯温泉には大規模なバスターミナルも整備されていることから、奥飛騨地域を訪れる観光客の交通拠点としても重要な役割を果たしています。

 そのような地域において、平湯大ネズコは、地域の自然環境を象徴する貴重な存在であるとともに、地域の観光資源や森林環境学習の場としても重要な役割を担っています。

 今回の研修会では、こうした貴重な森林資源を将来にわたって守っていくためには、行政や林業関係者だけでなく、地域の企業や住民、観光関係者など、多くの人が森林に関心を持ち、継続的に保全活動に関わっていくことが重要であることを学びました。

 青年部員にとっても、実際に森林に入り、汗を流して保全活動に取り組むことで、森林の持つ環境保全や観光、地域振興など多面的な役割を改めて考える機会となりました。

 今回の研修会を通じて得た経験や気づきを今後の業務や活動に生かすとともに、青年部ではこれからも研修や交流活動、地域における社会貢献活動などを通じて、次代の林業土木を担う人材の育成に取り組んでまいります。

 最後に、今回の研修会の企画・運営にご尽力いただいた岐阜北ブロックの皆様をはじめ、活動にご協力いただいた関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。

作業を終えて参加した青年部員一同(平湯大ネズコ前にて)
作業終了後は「平湯大滝」を見学しました。