安全パトロール&意見交換会を開催しました ~富山支部~

 令和7年9月24日(水)、(一社)名古屋林業土木協会富山支部(高平公輔支部長)主催による富山森林管理署、魚津労働基準監督署との合同安全パトロール及び意見交換会が開催されました

 当日は、富山森林管理署からは青野 洋德 署長、島光 芳典 総括治山技術官、祐成 亮一 森林情報管理官、魚津労働基準監督署から中内 健二 監督課長、協会から富山支部10社11名と協会事務局が参加し、午前中は、黒部市黒部奥山国有林の「出大谷災害関連緊急治山工事」現場のパトロールを実施し、午後からは同工事の受注企業である大高建設株式会社の会議室において安全会議及び意見交換会が開催されました。

出大谷災害関連緊急治山工事現場のヘリポートで工事概要の説明

 黒部川流域(黒部奥山国有林)の地形は、大汝山、剣岳等の立山連峰と、鷲羽岳や白馬岳等の後立山連峰に囲まれた極めて狭くかつ急峻な山岳地形となっています。黒部川は、その間を弓状に流下する典型的な羽状流域の河川であるとともに、わが国屈指の急流河川であるため土砂流出の多い河川です。(一部引用:国交省河川局)

富山森林管理署ホームページから

 今回の安全パトロールを実施した「出大谷災害関連緊急治山工事」は黒部奥山国有林の黒部渓谷鉄道(トロッコ電車)沿線の上部に位置し、昨年9月、降り続いた雨の影響によりトロッコ電車のトンネル内に土砂が流れ込むという土砂災害(乗員乗客60名を乗せたトロッコ電車が一時立ち往生)が発生しました。その後、復旧及び今後の対策について関係機関との協議が行われ、富山森林管理署が緊急治山工事として発注されました。工事箇所は急峻な地形で流出土砂が継続的に発生する山腹斜面のため、鋼製型枠導流堤を設置し土砂流出線の流れを変える(鉄道敷へ向かない)ことを目的としています。


宇奈月温泉駅でトロッコ電車乗車前の挨拶
出平駅で降車し工事現場へ向かう
宇奈月温泉駅で貨車へ各種資材を積載する様子
トロッコ電車軌道敷を歩いて施工現場へ向かう様子
トロッコ電車からの資材搬入箇所
資材を運搬するヘリ

 当日は、初秋の晴天に恵まれ、宇奈月温泉駅に集合しパトロールの行程を確認しトロッコ電車に乗車し、施工現場にほど近い出平駅で降車し徒歩にて工事現場に到着しました。安全パトロールでは、現場代理人から工事の概要説明を受けその後それぞれ全員で安全点検を行いました。点検後は、現場のヘリポートで魚津労働基準監督署中内安全衛生課長から講評をいただきました。主な講評内容は、①重機のオペレーターにKYを聞いたが、しっかり受け答えされた。シートベルト着用も確認でき。②熱中症の対応表と罹患した際の対応方法が一致しており良好。今後も季節外れの暑さに注意、③ミニバックホーの定期点検有効期限が今月末までであり、専門業者にきてもらうなど適切な処置を行うこと。

災害関連緊急治山工事施工地全景
工事概要説明掲示板
現場事務所脇を通過するトロッコ電車
安全掲示板
作業環境測定表示器
現場事務所の各種掲示板
落石・土石流センサーと警報機器
360度撮影の遠隔臨場カメラ

午後からは、大高建設株式会社の大会議室において安全パトロールの感想等意見交換会を行いました。主に発言のあった意見、感想等は、

○過酷な環境下でもよく整理された現場で総合的に良好な施工管理が行われている。
○現場に行く間に、ロープが抜けている箇所があったため、進入禁止を明示すること
○厳しい工期の中、実労働時間が6 時間なので焦らず作業すること
○日照をも短くなり暗くなるため、作業通路や発電機への動線に対し適切な明度を維持すること
○落石転石のリスクがあるため、上下作業を避け土手を作るなど対策を講じること
○飛散防止のためトラロープだけでなくネットや巾木を使用した飛散防止を検討すること
○避難訓練やけが人の救護計画について実現性があるか検証すること
○資材置き場は『ここが資材置き場』とわかりやすく明示すること
○セーフティコーンとロープで貼ってある場所の違いを明確にすること
○斜面での重機作業である、転倒リスク軽減のため、旋回ルールを検討すること
○ワイヤーロープへの癖や摩耗を防ぐよう保管の仕方に留意すること
○荒天時は朝の通勤含め作業を中断するのも勇気、臨機応変に行うこと
○山火事発生防止のため、タバコ等火の取り扱いには十分注意すること等
上記の点について、指摘、注意喚起がありました。

安全会議及び意見交換会の様子