林土連第3回理事会が開催されました
日 時:令和8年9月8日(火)16時00分~
場 所:東京都 海運会館302会議室
理事会では、林野庁から木下仁 国有林野部長が来賓出席されました。理事会終了後は、岡村篤憲 業務課長、藤原 司 業務課企画官から主に概算要求の概要についてご説明されました。

○嶋﨑 勝昭 林土連会長 挨拶(要旨)
熊本地震や全国各地で発生する豪雨災害により被災された方々にお見舞い申し上げる。また、協会員におかれては、災害対応や復旧対策に迅速に対応していただき敬意を表する。
先に治山林道議員連盟総会が、長崎屋長官をはじめとする林野庁幹部の皆様が出席される中、令和9年度の林野公共事業予算の増額と切れ目のない事業の実施を求める決議が行われたところでございます。その総会におきまして林土連からは、近年の異常気象に伴う豪雨災害などにより、治山林道施設の整備や災害復旧などの迅速な対応が必要となる箇所が増えているにもかかわらず、事業量は十分に確保されていない、頻発・激甚化する自然災害から国民の生命・財産を守るためにも林野公共事業予算の大幅な増額が必要不可欠であると訴えさせていただいたところでございます。

しかしながら、政府が補正予算依存から脱却し、恒常的な施策については当初予算で措置する方針を示している中、8月末日に示されました令和9年度林野公共事業予算の概算要求では、当初予算の前年度比では130%となっております。TPPや国土強靱化に関する事項要求として扱われている予算額を令和7年度補正予算と同額として比較すると、対前年度比120%程度の額となっております。昨今の人件費や建設資材の高騰を踏えますと、必要な事業量を拡充・確保するためには決して十分とはいえない非常に厳しい要求額となっているのではないかと受け止めております。林土連といたしましては、今後、強く豊かな日本創造枠の活用も視野に入れながら、林野公共事業予算の増額に向け、引き続き関係方面に対し、しっかりと要望活動を行ってまいりたいと考えております。各業界の皆様におかれましても、引き続きご理解とご協力を賜りますようお願いを申し上げます。
本日の理事会では、10月に予定しております林土連技術現地研修会の開催をはじめ、いくつかの議題についてご審議をいただくこととしております。
また、理事会終了後には、林野庁の岡村業務課長、藤原企画官から業務説明をいただき、その後、林野庁長官をはじめ林野庁幹部の皆様との意見交換を予定しております。長時間の会議となりますが円滑な議事運営にご協力いただけますようお願い申し上げ、開会にあたってのご挨拶とさせていただきます。
○木下 仁 国有林野部長挨拶要旨
林野庁国有林野部長の木下と申します。8月6日付けで就任させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
令和8年度第3回の理事会にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げたいと思います。
日頃より、林土連の理事の皆様方におかれましては、治山林道事業の円滑な推進をはじめ、国有林野事業の業務全般へのご理解、ご協力いただいておりますこと、厚く御礼を申し上げます。
また、本年は、熊本地震をはじめとして、台風、線状降水帯の発生など各地で大きな自然災害が発生をしております。被害に遭われた方々と地域に対しまして、心よりお見舞いを申し上げたい。

会員企業の皆様方には、国有林防災ボランティア協定に基づき被害状況調査、応急対策へのご協力をいただいておりますこと本当に感謝を申し上げたいと思います。熊本地震におきましては、九州林業土木協会より、被災自治体への支援として飲料水、それからブルーシートをご提供いただいております、重ねて感謝を申し上げたいというふうに思います。林野庁といたしましては、被害の早期把握はもとより、山地災害の早期復旧に向けて着実に進めてまいりたい。
さて、林野庁関係来年度予算につきまして、8月末に財務省に対して概算要求書を提出したというところでございます。林野庁全体では総額3956億円で対前年比127.1%、一般公共事業費2469億円で対前年度比130%ということで要求をさせていただきました。これにプラスして、第1次国土強靱化中期実施計画にかかる経費、総合的なTPP等関連政策大綱に基づく経費について、予算編成過程で検討するということで、その金額とは別に事項要求させていただいているというところでございます。
会員の皆様方におかれましては、引き続き予算獲得に向けてご支援いただければというふうに思います。
また選ばれる森林土木、通称ESDの取り組みにつきましては、本年6月からスタートしました。第3期計画に基づきまして引き続き、関係団体の皆様からのご意見をお伺いしつつ受注環境の改善や、現場業務の効率化・省力化に向けて進めてまいりたい。
最後に労働安全の確保についてお願いです。今、国有林の現場から事故の一報も入ったところではありますが、この労働安全の確保につきましては、事業実施の際しても最優先と考えております。これから、事業の最盛期に向かいますが、現場は、非常に条件の悪いところや天候の状況とかもある中での実施と思いますけれど、発注者としましては、安全衛生を確保するための必要な経費について、的確に設計積算に反映するなど施工体制の確保に万全を期してまいりますので、会員企業の皆様におかれましても労働災害の防止ととりわけ重大災害の根絶に向けてご尽力いただけますようよろしくお願いを申し上げます。
結びになりますが今後とも貴協会ならびに、会員企業の皆様方が益々安全にご発展をされますこと祈念いたしまして、挨拶とさせていただきます。
林野庁業務課長から令和9年度予算概算要求等について説明を受けました
理事会終了後は林野庁業務課岡村課長から「令和9年度林野庁関係予算概算要求の概要」について説明がありました。
冒頭、日頃から森林行政及び国有林野事業の推進に協力している林業土木関係者に対し、感謝の意が述べられました。令和9年度の予算要求については、例年と異なる大きなポイントとして、次の3点が示されました。

① 補正予算依存からの脱却と当初予算への重点化
これまで補正予算で措置されてきた施策について、必要なものは引き続き補正予算で対応しつつ、恒常的に必要な施策については、可能な限り当初予算に盛り込む方向で要求を進めているとの説明がありました。
②「強く豊かな日本投資枠」の創設
必要な投資を積極的に進めるため、「強く豊かな日本投資枠」が設けられ、林野庁としても必要な予算を積極的に要求しているとの説明がありました。
③ 新たな「森林・林業基本計画」を踏まえた予算要求
令和8年6月に策定された新たな「森林・林業基本計画」に基づき、川上から川下までを通じた森林・林業施策を推進するための予算要求が行われているとの説明がありました。
令和9年度林野庁予算概算要求は、総額3,950億円(令和8年度当初予算比127.1%)、このうち関係の深い**一般公共事業費は2,469億円(同130.0%)**と、大幅な増額要求となっています。
また、これまで補正予算で措置されてきた国土強靱化関係等についても、可能な限り当初予算に組み入れる方向で要求しているとの説明がありました。
主な施策としては、森林・林業の川上から川下までの連携を進める「森の国、木の国、木の街創造連携イニシアティブ」、スマート林業などの新技術の導入、森林の集約化や木材の高付加価値化、人材の育成・確保、シカ・クマ・松くい虫等への対策、花粉症対策などが挙げられました。
さらに、公共事業については、森林整備事業及び治山事業を森林・林業施策の基盤となる重要な事業として位置付け、必要な予算を積極的に要求しているとの説明がありました。
最後に、労働災害防止についても強い要請がありました。森林・林業・土木関係では重大災害が発生しており、労働災害の撲滅は施策を進める上で非常に重要な課題であるとして、林野庁として積算面を含め必要な対応を行うとともに、現場を担う事業者に対しても、常に緊張感を持って安全対策に取り組むよう協力を求めました。
今回の説明を通じて、令和9年度の林野庁予算概算要求では、新たな森林・林業基本計画を踏まえ、森林整備・治山をはじめとする公共事業を着実に推進するとともに、スマート林業や担い手確保、森林・林業の川上から川下までの連携など、幅広い施策を強化していく方向性が示されました。
林野庁業務課企画官から森林整備・治山事業等について説明を受けました
続いて、林野庁藤原司企画官から、令和9年度林野公共予算の概算要求、令和8年の山地災害への対応及び「選ばれる森林土木」第3期計画などについて説明がありました。

■ 令和9年度林野公共予算と治山事業の拡充
令和9年度の林野公共予算の概算要求は、これまでの取り組みを継続・強化するとともに、近年多発している複合的な要因による山地災害への対応を進める方針が示されました。
特に、災害の再発防止に向け、国直轄による集中的な復旧・整備を進めることを重点的な取り組みの一つとして、治山事業の拡充を図るとの説明がありました。
■ 令和8年の山地災害と復旧への対応
令和8年は、線状降水帯や台風等による山地災害が全国各地で発生しており、被害が広域化・長期化する傾向が見られるとの説明がありました。
9月1日時点の国有林関係の被害速報値では、林地荒廃約27億円、治山施設約6億円、林道施設約17億円弱、合計約49億円弱に上っています。
また、長崎県島原市の眉山では、大規模な表層剥離が発生し、九州森林管理局が大型土のうの設置などの応急対策を実施するとともに、予備費等を活用し、発生源対策や流出土砂防止対策を進めているとの報告がありました。
このほか、長野県安曇野市の土石流被害や岩手県内の被害など、全国各地の災害についても復旧対応を進めているとの説明がありました。
農林水産省では、被災者の生活や生業の早期復旧を支援するため、激甚災害指定による災害復旧事業の国庫補助率の嵩上げや、予備費等を活用した復旧支援を行うとともに、災害発生の危険性が高い荒廃地における治山対策や森林整備を強力に推進していく方針が示されました。
■「選ばれる森林土木」第3期計画
令和8年9月から3年間を計画期間とする**「選ばれる森林土木」第3期計画**についても説明がありました。
本計画では、現場条件を適確に反映した入札・契約、適正な工期の設定、働き方改革、安全性向上、労働環境の改善、ICT導入による生産性向上などを引き続き推進していくとのことです。
主な取り組みとして、次の5項目が示されました。
- 安全性の向上:積算・経費の適正な計上、ICTを活用した監督・検査体制の整備
- 現場条件の施工設計への反映:施工業者等から意見を聴取し、設計・施工への反映を進める取り組みの推進
- ICT導入の促進:2D・3Dなど比較的導入しやすい技術から段階的に導入できる環境の整備
- 省人化建設機械の導入:チルトローテーター等の新たな建設機械の試行・検証
- 生産性の高い工法の推進と総合評価の検討:2次製品等の活用や、価格だけでなく施工の品質・生産性等を含めた総合的な評価手法の検討
特に、ICTや省人化建設機械の導入については、関東・中部森林管理局等で現場検討会を開催し、実際の施工現場での効果や課題を検証していくとの説明がありました。
■ 民有林直轄による集中復旧整備
今回の説明の中では、「民有林直轄緊急治山事業(仮称)」の新たな拡充についても説明がありました。
近年、能登半島地震や大雨など、大規模かつ複合的・広域的な山地災害が発生しており、被災自治体だけでは十分な対応が難しいケースも生じています。
このため、国が有する技術力や全国的なネットワーク、災害対応のノウハウを活用し、地方自治体を支援する取り組みとして、災害復旧等事業に引き続き、一定の計画に基づき、再度災害の発生を防止するための集中的な復旧整備・治山対策を実施する仕組みを新たに設ける方向で検討しているとの説明がありました。
事業期間は5年を上限とし、被災箇所の復旧にとどまらず、再度災害の防止を見据えた集中的な治山対策を進めることを目指しています。
今回の説明では、令和9年度の予算要求における治山・森林整備事業の強化に加え、近年頻発する大規模災害への対応、ICT・省人化による森林土木工事の生産性向上、現場条件を踏まえた適切な施工環境の確保など、今後の森林土木事業を取り巻く重要な方向性が示されました。

